むすめもむすこもズボンのポケットにティッシュやマスク、ハンカチなどを入れたまま洗濯かごに入れる。
気付かずに洗濯機を回してしまうと、洗濯ものを干す時のがっかり感が凄まじい。
しかし、何度注意しても改善の兆しが見られない。
今朝の犯人はむすめだった。
洗濯ものを干そうとしたら、ポケットティッシュが入っていた。
それも未使用だった。
おかしいぞ。
むすめはここのところ風邪気味でせきや鼻水で苦しんでいるはず。
普段なら「また出し忘れか」とため息をつき、干し終わり、部屋に戻ってから苦言を呈すのだが、今回は「未開封」と「鼻水の処理」で合わせ技一本だ。
思い立ったが吉日。洗濯もの干しを中断した。
居間に戻り、「おさるのジョージ」を見ているむすめに、ズボンのポケットから未開封ティッシュがのぞいているままの状態で突き付けた。
「ポケットティッシュはズボンから出せと言っているでしょ。今日は未開封なんだけど、あなたは学校でどうやって鼻水を処理しているの?」
「鼻水は学校では出ない」
「嘘おっしゃい。今週はずっと咳と鼻水出ているでしょう。家でズルズルの鼻水が学校では出なくなるなんて生理的にありえません。正直に言いなさい」
「出てないの!」
「だから、嘘はやめなさい。じゃあ、あなた、咳も学校では出ないの?」
「咳は出る」
「咳は止まらないのに鼻水は止まるなんてあり得ないのだよ。やっぱり嘘ついてたね。そろそろ正直に言いなさい。ズボンか靴下にシャツに鼻水を擦り付けているんじゃないの?」
「鼻水は吸い込んでいる」
「やっぱり嘘だったじゃないの。なんで初めから本当のことを言わないの。それに鼻水を吸い込むと中耳炎になるからやるなと言っているじゃないの」
「うん。ごめん」
「謝るような話ではない。損をするのはあなた。でも、モノは無駄にしてはいけません。濡れたティッシュでテーブルや学習机を拭きなさい。いつやる?」
「ジョージが終わったら」
「はい。約束だからね。もう嘘つくんじゃないよ。濡れたポケットティッシュはテーブルに置いておくからね」
「うん」
むすめとのやり取りからそろそろ3時間。
むすめはまだ嘘つきのままだ。