衰退一直線の日本を生きるすべての若き次世代に送る問答

「パパ、1円ちょうだい!」

 

「イヤ」

 

「パパ、10円ちょうだい!」

 

「イヤ」

 

「パパ、100円ちょうだい!」

 

「イヤ」

 

「パパ、1000円ちょうだい!」

 

「イヤ!」

 

「パパ、10000円ちょうだい!」

 

「イヤ!」

 

「パパ、1億円ちょうだい!」

 

「いいよ!」

 

「マジで!?」

 

「マジで。でも今はあげない。あなたが将来1億円を手中にできるだけの準備はしてる。あなたがやりたいと言った習いごとは全て叶えているし、外国で勉強したいてなるかもしれないからお金の準備もコツコツしている。いつも言っているけど、あなたが生きる時代の日本は貧しくなって、外国人と仕事を奪い合う厳しい世の中になっているはず。そんな時代でも不自由せず生きられるように親としての準備はしている。それを積算すれば1億円はくだらない価値がある。分かる?」

 

「分からん」

 

むすめと夫のやりとりを横目に、妻は夕食の準備をしながら「むすめが『分かった』と言う日が待ち遠しい」と思った。

 

かけがえのない週末。

 

以上、わが家の団らんのひとコマである。

わが家でも新年度が始まりました

短いようで結局短かった春休みが終わり、子どもたちの新年度も始まった。

 

「勉強を頑張りたいです」「友達をたくさん作りたいです」

 

テレビや新聞では、前途洋々の希望に満ちた新入生を取り上げていたが、現実は必ずしもそれほどきらびやかではない。

「今日は学校行かない!」
「学校行くよね」
「行くんなら車で送って!みんな送ってもらってる!」
「それはウソでしょ。『みんな』じゃないでしょ?」
「違う!み・ん・な!」
「それならうちは、あなたの言うところの『みんな』じゃない」
「ぎやー!」
「何食べるの?」
「パン!」
「パンをどうしてほしいの?言わないと分からないよ」
「焼いといて!」
「ミロは?」
「飲む!作っといて!」

大声で泣き叫び、地団駄を踏む。むすめとの朝は毎日が戦国時代だ。

そんな戦国武将なむすめも新年度、学年があがった。

ふと、思い返す。

むすめは、入学時からそんなにも「戦国」だっただろうか。

むすめが「武将」になった最大の原因の一つは、2年間受け持っていただいた担任と言って差し支えないだろう。

じっとしていられないタイプの子どもに「クソったれ」と言い放つのが日常の担任。

 

1年目の年度末。クラスから複数が転校することになったのだが、ホームルームでなぜか担任が一人だけをやり玉にあげた。「この中で、◯◯さんだけ引っ越すことを先生に言ってません」。その子は顔を真っ赤にしていたらしい。

極めつけは、長期休み明け。むすめの「戦国」の度合いが休み前より激しいので、寝床で何があったか聞いてみると、「⬜︎⬜︎ちゃんが学校来なくなったんだけど、先生が『⬜︎⬜︎さんは学校がイヤになったので今日から来ません』って言ってた」

まさかの不登校事案だった。「体罰上等」「教師は絶対」な「昭和」を通過してきた親としては、学校を嫌うむすめに首をかしげることもあったが、不登校エピソードには「そういうことでしたか…」と青ざめるしかなかった。

そして新年度。むすめの担任が変わったらしい。2年ぶりの新担任だ。

「学校ぶん殴る」「学校燃やす」「学校に爆弾落とす」

 

むすめの反社会的な口癖は変わるだろうか。

親の経験からすると、学校なんて好きでも嫌いでもどっちでも構わないが、精神衛生上はネガティブな感情は少ない方がいいだろう。

そういうわけで新年度。むすめの振る舞いの変化に要注目なわが家である。

 

【年末事件簿②】生ハムで食中毒寸前&戦争寸前

おせち作るってことで冷蔵庫をあれこれやっていたら、賞味期限を大幅に過ぎた生ハムを見つけてしまいました。

 

 

わが家は老いも若きも生ハム大好きです。

 

ここ1、2年は物価高のあおりで値段が上がったり、枚数が減ったりしてしまいました。

 

それからからというもの、生ハムへの情熱はうなぎのぼりです。

 

言葉にはせずとも、老いも若きも「我こそは誰よりも1枚でも多く食べるべき者なり!」との思いを秘めています。

 

ただ、今回発掘した生ハムのように10日以上も賞味期限を過ぎていると話は別です。

 

もちろん、「消費期限」と「賞味期限」の違いは理解しています。賞味期限でしたら多少過ぎていても加熱して食卓に並べていますが、生ハムは加熱すると存在意義を失ってしまいますからね。

 

発掘時はタイミングよく、子どもたちは2階で遊んでいましたので、夫婦だけで食べることにしました。

 

急いで封を開け、箸で7、8枚ずつ一気に口に入れようとした、その時。

 

センサーでも付いているのか、階段をドタバタ駆け降りる音が近付いてきました。

 

居間の扉が開きました。

 

「なんでパパとママだけで生ハム食べとん!!」

 

家族全員の口があんぐり開いていました。

 

大人は食べるため、子どもは怒りをぶつけるため、と目的は違っていましたが。

 

子どもたちには事情を話し、賞味期限が切れていない生ハムのストックがあることも伝え、事なきを得ました。

 

晦日に食中毒で苦しむこともなく、生ハムで争うこともなく年が越せそうです。

 

最後に一つ。

 

賢明な読者の皆さんは気付かれていることと思いますが、今回の生ハムは、そうです、いつもの見切り品です。

 

そして、ストックしてある生ハムも、もちろんそうです。当然、見切り品です。

【年末事件簿】レトルトカレーで火事寸前【ボンカレー55周年】

今年もあと6時間余りで終わりですが、2023年って実は、大塚食品が世界初の市販レトルト食品として「ボンカレー」を発売して55周年の節目だったそうです。

 

レトルトカレーは進化を続け、近年は開封も湯せんも必要ない「電子レンジ対応型」が登場し、湯せん型を駆逐しそうな勢いです。

 

子どもでも難なく温められるため、我が家でも重宝しています。

 

しかし、「進化」とは、それが「進化」であると理解できる経験や知識があって初めて、「進化」として存在します。

 

そんなことを実感させられる事件がありました。

 

今回の主人公はむすこです。

 

「今日のお昼は何にしようか」「スパゲティでいいんじゃない?」「それとも袋ラーメンで野菜たっぷりアレンジしようか」

 

メニューを決めかねている両親をよそに、むすこは「ぼくはカレーにする」と言い放ち、キッチンに向かい行動に移しました。

 

食材ストックの入った棚を引き出し、レトルトカレーを引っ張り出し、電子レンジを開け閉めして、ボタンを操作しました。しばらくすると、「ぴぴぴぴぴぴいぃ」。「これから温めが始まりますよ」と案内するかのような電子音が響きました。

 

「むすこくん、あなた、すごいね」「自分でそこまでできるようになったの」

 

わが家の居間はキッチンから隔たった空間。そのためむすこの動きを視覚では直に確認できない状況ではありつつも、両親は聴覚で成長を実感していると、嗅覚が異常を察知しました。

 

「なんか焦げ臭くない?」「うん。通常のレトルトカレーパーティーでは臭うはずがない異臭だよね」

 

「あんた、何でもかんでも『パーティー』にするんじゃあないよ」と青筋を立てた妻がキッチンに急ぐと、電子レンジから見たことがない煙がのぼっているではありませんか。

 

停止ボタンを押し、扉を開けると…。

 

火事寸前!オーマイガッ!

「電子レンジ非対応」に慣れ過ぎたむすこは非対応のレトルトカレーを対応風に温めてしまったようです。パウチ袋は黒く焦げてしまいました。焦げはセラミック製(?)の角皿にも移ってしましました。

 

むすこに事情を聞いてみると、「ぜんぶそのままチンできると思っていた」と大泣きしていました。

 

レトルトカレーには開封や湯せんが不可欠だった時代を知らない令和世代には、昭和・平成が驚いた「電子レンジ対応型」に秘められた技術の進化はリアルでないようです。

 

ちなみに、黒焦げた非対応レトルトカレーですが、中身には影響なかった(と夫婦は信じている)ため、むすこが予定通りおいしくいただきました。

 

美人行員にも惑わされず投資信託を断った夫の15年越しの嘆き

「あの時、投資信託を始めていたら、僕は億万長者になっていたのかねえ」

 

最近、夫が事あるごとに思い出したようにぼやいている。

 

「あの時」というのは15年ほど前、独身時代のことらしい。

 

メインバンクの地銀で投資信託を薦められたが、断ったことが頭に引っかかっているのだという。

 

「結婚前は仕事人間だったからさあ。海外旅行に行くほどの休みはないし、ブランド品にも興味はないし、車も気に入ったものを長く乗るタイプだし、お金がそこそこたまったもんだよ」

 

夫の預金に目を付けたのが地銀の女性行員だった。

 

 

「『夫様は普通預金からすぐに使う予定がないのでしたら、投資信託をされてみてはいかがでしょうか』ってね。そりゃあ定期に預けていても金利がアレだから意味がないぐらいは知っていたけど、当時は金融知識がゼロで『投資信託? はあ?』って感じで、話を真面目に聞く熱意がなかったんだよ」

 

しかし、夫の興味を刺激する要素があった。

 

それは行員の美貌だという。

 

「瞳がきれいで、八重歯がチャームポイントな女性でねえ。これも何かの縁かと思って聞いてみたのだよ。でもね。近視眼的に『投資をしたらいつ得するのか』という観点しかないから、話なんか入ってこないさ」

 

夫は話を聞くふりをしながら、行員の瞳と八重歯と化粧のノリを観察するばかりだった、と振り返る。

 

そんな夫の無関心をよそに、女性行員は「月1万円からでも」てな具合でたどたどしくも15分ほど説明を続け、最後に投資を始める意向を尋ねたという。

 

「どうも腑に落ちないから、『リスク前提なのは分かりましたけど、本当にもうかるんですかね? 本当にもうかるのなら、みんなやりますよね。ちなみに行員さんはやっているんですか』って聞いてみたのよ」

 

女性行員の答えは「えー、私はやってないんですよ」。満面のスマイル付きだったらしい。

 

「なんじゃそりゃ、でしょ。マクドナルドかってえの。他人様の時間をとって、投資を勧めて、最後に『自分はやってないんだけど』って、ふざけるんじゃあないよ、あたしはやらないよってことで、丁重にお断りしたんだよ」

 

その女性行員は意外と熱心で夫の実家にまで電話し、投資を勧めたが、夫は結局踏み切らなかった。

 

あれから15年。

 

アベノミクスは機能せず、デフレは40年続くのかと思っていたら、急に海外で戦争が勃発し、あらゆる物価が高騰。「デフレを脱出し、いよいよインフレ基調か」というと事態はそれほど単純ではない。物価高騰に見合う賃金上昇は存在せず、円安も深刻で、端的に言えば、日本経済の構造的な脆弱さが露見しただけ。キシダノミクス政府は「新しい資本主義」を宣言し、「分配重視」をうたったかと思ったら、結局は「国民は投資しまくれ」の大号令。数年前の「老後は勝手に2000万円貯めてね」宣言がかわいらしいぐらいだ。

 

夫は言う。

 

「こんなに投資全盛の世が来るなんて思いもしなかったよ。でも、あの時点で投資は盛り上がるところでは盛り上がっていたんだよね。シティだ、ウォール街だ、フランクフルトだ、シンガポールだって言ってたんだから。あの時、八重歯行員を信じて投資を始めてたら、積立額180万円だよ。15年でどれだけ運用益があったんだろうね」

 

にやにやしながら女性行員の容姿を語る夫に口を挟まずじっと聞いていた妻が、ゆっくりと口を開いた。

 

「過ぎたことを言い連ねても意味がないよ。大変な時代がやってきたんだよ。賢く投資しないと、まともな教育も受けさせられないかもしれないし、落ち着いた老後は過ごせないんだよ。一生懸命仕事しても給料たいして変わらないんだから、空き時間に投資の知識を磨かないと」

 

夫は力強くうなづいた。

 

「そのことですよ。定年まで残された時間は長くない。これが本当の『タイム・イズ・マネー』だね」

「体調不良の妻に代わって夫が弁当を作ったよ」的な記事を公開することの是非

妻が風邪をひいた時の話。

 

それが何とも不思議な風邪で、朝は39度前後まで熱が上がるのに、昼前には37度前半に落ち着く。

 

治ったと思っていると、夜にはまた38度台までぶり返す。

 

全身に倦怠感があり、鼻水や咳にも悩まされる。

 

「そんなのインフルエンザで決まりでしょ」な感じなのだが、体温の乱高下が腑に落ちず、病院に行くタイミングを逃していたら、1週間が過ぎようとする。

 

しぶとく、不思議な風邪だ。

 

毎朝の子ども弁当作りが骨身に応える。

 

見かねた夫が弁当作りに名乗りを上げた。

 

「僕がやるよ。君は休んでいてよ」と。

 

とは言っても、ごはんもおかずも前日の夕食から取り置いているので、作業はそれほど高度ではない。

 

ごはんとごはんは電子レンジで温め直して、冷まし直す。

 

ウインナーをタコ加工して焼き、子どものリクエストに応え卵焼きを作る。

 

冷凍のブロッコリーを解凍して、ミニトマトを加えればほぼ完成だ。

 

少しだけスキルを要するのは小さなお弁当箱に食材をバランスよく隙間なく詰めるところぐらいだ。

 

 

予定時間内に弁当は完成。子どもを無事見送った後、夫が言った。

 

「ねえ、『夫が弁当を作った』記事を書いてみようか」

 

「え、そんなのいいよ。男が子どもの弁当を作るなんて別に珍しいことじゃないよ。そんなに取り立てて『育児やってます』みたいなのはどうなのかね。時代錯誤感があるよ」

 

「そっか。それは僕もそう思う。育メン発信ブログではないしね」

 

夫婦ではそんな会話があったが、せっかく写真も撮ったし、やっぱり公開してみようと思う。

 

その是非について評価は定まっていないが、男親も弁当を作らないよりは作る方がいいと思うので。

 

【小言よりクイズ形式】風邪ひき嘘つきさんの濡れたポケットティッシュのその後

tabitabitamani.hatenablog.com

 

風邪ひきむすめが未開封のポケットティッシュをズボンに入れたまま洗濯にまわしてしまった話の続き。

 

「自宅では鼻水ズルズルのくせにポケットティッシュの封も切らないなんて学校で鼻水をどうやって処理しているのだ」と問い詰めたら、「学校では鼻水でない」なんてとぼけるので、「そんなことは人間生理の観点からあり得ない」とさらに問い詰めたら、「鼻水は吸い込んでいる」と白状させた話の続きである。

 

むすめには濡れたティッシュを無駄にしないようテーブルや学習机を拭くように言いつけた。

 

むすめはすぐに拭かないどころか3時間近く放置したわけだが、顛末を記事にアップした段階で、親のしびれが切れてしまった。

 

「むすめちゃん、何か忘れてない?」

 

「え、忘れてないけど」

 

「テレビ見終わったら何かするって言ってたよね?」

 

「え、言ったっけ?」

 

完全に忘れているらしいので、大好きなクイズ形式にすることにした。クイズでも出してタスクを完遂させないと切らしたしびれが無駄になってしまう。

 

「ヒント欲しい?」

 

「欲しい!」

 

「『ヌ』の字の『テ』の字」

 

「え、分からない。ヒントもう一つちょうだい!」

 

「『ヌ』の字の『テ』の字を無駄にするなって言わなかったけ?」

 

「あー、ティッシュ!」

 

「正解」

 

ティッシュどこ?」

 

ティッシュどこって見えているでしょ!置き場所もさっき言ったでしょうが!」

 

「えー、見えないよ」

 

完全に瞳に映っていないようなので、大好きなクイズ形式にすることにした。第2問を出してタスクを完遂させないと切らしたしびれとせっかく出したクイズ第1問が無駄になってしまう。

 

「ヒント欲しい?」

 

「欲しい!」

 

「どこを拭くように言ったでしょうか?」

 

「机!」

 

「学習机はこの部屋にはないやんけ!この部屋にないものは見えんわ!他には?」

 

「あ!テーブル!」

 

「正解」

 

「あ!ティッシュあった!」

 

「よく見つけました!ちゃちゃっと拭いてください!」

 

そういうわけでわが家では、子どもが言いつけたことをすぐにしないのが悩みです。小言を言いまくっても改善しないばかりか、不要なストレスをかけるのも本意ではないので、クイズ形式で行動を促しています。

 

テーブルや学習机を拭いた後の濡れたティッシュのイメージ画像

安室ちゃんサブスク音源消滅騒動もCD派には無縁

安室奈美恵さんのサブスク音源が消滅し騒ぎになっているらしい。

 

わが家は騒動とは無縁だ。

 

なぜなら夫を中心に「CD派」だから。

 

このブログで言及したyellow magic orchestraもdemon albarnのマリ音楽プロジェクトも久石譲もすべてCDで持っている。Carlos Kleiber指揮の歌劇「椿姫」はもちろん、むすめの好みがきっかけで聞くようになった星野源もCDだ。

 

CDにも良いところたくさんあるんですよ

 

しかし、CD派は近年、居心地の悪い思いをしてきた。

 

背景にあるのはもちろんサブスクの隆盛である。

 

夫が勤務先で「サブスク派」から白眼視された逸話は何年経っても語り草だ。

 

spotifyyoutube musicでなんでも聞けるのにわざわざCDを買うなんて信じられない」

 

「サブスクではレコメンド機能があるので趣味の幅が広がる」

 

「CDは全部捨て、サブスクに切り替えた。部屋が広くなり、いい断捨離になった」

 

「わざわざCDに3千円出すなんて『お布施』だ。そこまでして特定のミュージシャンを支えてあげたいのだったら好きにすればいいけど」

 

そんな時、夫は帰宅後、妻に「いやあ、時代の変化を感じるねえ」としみじみ語るのだ。

 

「先輩や同僚はそう言うけどさあ、サブスクの圧縮音源よりもCDの方がいい音で聴けるんだけどねえ。でも、これは限られたお金を何に使うかという話だからね。価値観の違いだからね。ポケモンゴーに課金したい人はすればいいと思うわけよ。ポケモンゴーに課金システムがあるかなんて知らないけどさ。え? その意見を先輩たちに言ったのかって? そんなの言うわけないだろう。僕は多様性を認めるタイプだからね」

 

壁を埋め尽くすCDコレクションに苦虫をつぶしている妻も今夜は夫の味方。

 

「あなたほどCDを買わなくてもいいけど、私もCDを捨てるのはやりすぎだと思うな。サブスクリプションというサービスは『形』が何もないものにお金を払うってことでしょ? サブスクの会社が潰れたらどうするんだろうね」

 

「そうなんだよ。音楽は『美』だよ。やっぱり『美』に『形』が全くないのは不健全なんだよ。おなじ『美』である絵画をサブスクで楽しめるかい? 美術館で見たいだろう? 海外の美術館に気軽に行けないとしたら、そうだな。画集をめくりたいじゃないか」

 

「あんた、その美術館の例えを音楽に置き換えたら『コンサート』になるんじゃない? サブスク派は『美』はCDではなく『コンサート』や『フェス』でしか体験できない、という主義だとしたら、その例えでは論破されてしまうよ」

 

「あら、君、それは椎名林檎さんで言うところの『だって写真になっちゃえばあ、あたしが古くなるじゃない』な世界観かね? しかし、若さの儚さを言い当てた見事な詩だよねえ。しかしねえ、しかしだよ。コンサートや美術館でしか『美』を体験できない主義なんて、儚いったらありゃしないよ。僕はCDや画集で『儚さ』を少しでも薄めたい主義だねえ」

 

夫婦でそんなやり取りをしたのが3、4年前だった。

 

その間、山下達郎さんがサブスクの収益構造に疑問を投げ掛けたというニュースは流れてきたが、「サブスク派」優勢の流れは変わらなかった。

 

そんな時に持ち上がったのが安室奈美恵さんのサブスク音源消滅だった。

 

「いやあ、君の言う通りになったね。会社は潰れなかったけど、契約の関係かなんかで音源が消滅したってさ。やっぱりCDだよ。『形』あるものの勝利だよ」

 

夫が嬉々としていると、妻は白い目をして言った。

 

「あんたのCDなんてわたしにはごみだよ。あんたが先に死んだら真っ先にメルカリで売るよ」

 

夫は「人生は儚い」と思った。

 

夫は「妻の目つきは安室ちゃんのアルバム『PLAY』のジャケットに出てくる警帽をかぶった婦警のようだ」と思った。

 

目はよく見えないらしいのにやたらと考えがはっきりしている老婆と出会った

ある休日。

 

普段は家族みんなで買い物に行くのだが、その日は、夫以外の全員が体調不良。

 

夫が独りで行ったスーパーで、目はよく見えないらしいのに考えはやたらとはっきりとしている老婆に出会った。

 

出会ったのは肉売り場。

 

夫のお目当ては、牛豚合いびきのひき肉。量は150グラム。

 

売り場にぎっしり敷き詰められたパックを一つ一つ吟味していると、隣から声が聞こえた。

 

「わたしは90歳なんですが、目が見えんのですよ。娘からひき肉を400グラム買っておいてと頼まれたんやが、これは何グラムですかいねえ。おにいさん、見てくれんですか」

 

小柄な老婆が腰を折り、身をかがめ、パックのラベルを読み取ろうとしていた。

 

夫は「周りに店員はいないのか」と思いつつ、「その距離でラベルが読めないのだったら、もやがかかって周りも見えないのかもしれない」と考え直し、老婆のパックを凝視した。

 

「それは350グラム。このサイズのパックは320グラムから360グラムなので400グラムはないですよ。一番多いものでどうですか?」

 

老婆は目はよく見えないわりには、答えははっきりしていた。

 

「娘は昼間仕事に行ってて、今夜はハンバーグを作るって言ってて。400グラムって」

 

夫は「360でも400でもええやん…」と思いつつ、娘さんのお願いを忠実に叶えようとする誠実な人柄にほだされ、付き合うことにした。

 

「ハンバーグだったら、そもそも何のひき肉を頼まれたの?おばあさんが持っているのは牛豚の合いびきだけど、それでいいの?」

 

老婆の回答は予想外だけど、はっきりしていた。

 

「鶏が混じっているやつって」

 

400グラム、鶏混じりのひき肉――。

 

目は見えないって言っているのに、考えははっきりしてい揺るぎない。夫は、娘さんに「お母さん、絶対に間違えないでね」とでも言われているのだろうかと想像しつつ、ひき肉コーナーを一覧し、答えた。

 

「おばあさん、ここの鶏ひき肉は合い挽きじゃあないよ。鶏単独だよ。牛豚ではだめなの?」

 

老婆の回答はまたも予想外だった。だが、「揺るぎない」と感じていた内容は若干ブレたようだった。

 

「牛豚なんかなあ」

 

夫は「鶏なのか牛豚なのか、確固たるものがないのだったら、必要なグラムも怪しくなるやんけ…」と首をかしげ、「もう牛豚に誘導した方が、おばあさんにもメリットがるのではないか」と思い始めていた。

 

「いや、娘さんがどんなひき肉を必要としているかは分からないけれど、ハンバーグなら自分だったら牛豚の合いびきを使うよって話。それに娘さんは『混じっている』って言っているのなら、牛豚の方が一般的ではないかなと」

 

「じゃあ、そっちの小さいパックも買ったら400グラムになる?」

 

回答はまたも予想外。それも聡明。そして忠実。夫は「足し算までするのか…」と感心し、パックを選び始めた。

 

「二つの合計でいいんだったら、400グラムにできますよ。326グラムと80グラムで406グラム。パックのグラム数をぱっと見た限りだけど、この組み合わせが最も400グラムに近いよ。これでいい?」

 

夫はパックを二つ老婆に手渡した。

 

「ああうあ、これで400グラムになっているんですかいのお。でも、鶏…」

 

夫は「え、牛豚にするんじゃなかったの?」とため息が出そうになり、老婆の言葉をさえぎってしまった。

 

「400グラムなっているよ。僕も家族が寝込んでいて時間がないから、もう行くよ。ごめんね」

 

夫は二つのパックで「150グラム」の牛豚ひき肉を手に入れ、肉売り場を後にした。老婆のアイデアを借用である。

 

夫は牛乳売り場に向かいながら、「人助けは難しい」とため息をついた。

【嘘つきには小言】風邪ひきさんと濡れたポケットティッシュ

むすめもむすこもズボンのポケットにティッシュやマスク、ハンカチなどを入れたまま洗濯かごに入れる。

 

気付かずに洗濯機を回してしまうと、洗濯ものを干す時のがっかり感が凄まじい。

 

しかし、何度注意しても改善の兆しが見られない。

 

今朝の犯人はむすめだった。

 

洗濯ものを干そうとしたら、ポケットティッシュが入っていた。

 

それも未使用だった。

 

開封のまま濡れてしまったポケットティッシュ

 

おかしいぞ。

 

むすめはここのところ風邪気味でせきや鼻水で苦しんでいるはず。

 

普段なら「また出し忘れか」とため息をつき、干し終わり、部屋に戻ってから苦言を呈すのだが、今回は「未開封」と「鼻水の処理」で合わせ技一本だ。

 

思い立ったが吉日。洗濯もの干しを中断した。

 

居間に戻り、「おさるのジョージ」を見ているむすめに、ズボンのポケットから未開封ティッシュがのぞいているままの状態で突き付けた。

 

「ポケットティッシュはズボンから出せと言っているでしょ。今日は未開封なんだけど、あなたは学校でどうやって鼻水を処理しているの?」

 

「鼻水は学校では出ない」

 

「嘘おっしゃい。今週はずっと咳と鼻水出ているでしょう。家でズルズルの鼻水が学校では出なくなるなんて生理的にありえません。正直に言いなさい」

 

「出てないの!」

 

「だから、嘘はやめなさい。じゃあ、あなた、咳も学校では出ないの?」

 

「咳は出る」

 

「咳は止まらないのに鼻水は止まるなんてあり得ないのだよ。やっぱり嘘ついてたね。そろそろ正直に言いなさい。ズボンか靴下にシャツに鼻水を擦り付けているんじゃないの?」

 

「鼻水は吸い込んでいる」

 

「やっぱり嘘だったじゃないの。なんで初めから本当のことを言わないの。それに鼻水を吸い込むと中耳炎になるからやるなと言っているじゃないの」

 

「うん。ごめん」

 

「謝るような話ではない。損をするのはあなた。でも、モノは無駄にしてはいけません。濡れたティッシュでテーブルや学習机を拭きなさい。いつやる?」

 

「ジョージが終わったら」

 

「はい。約束だからね。もう嘘つくんじゃないよ。濡れたポケットティッシュはテーブルに置いておくからね」

 

「うん」

 

むすめとのやり取りからそろそろ3時間。

 

むすめはまだ嘘つきのままだ。

 

【中古住宅購入の注意点】「両手仲介」は避けた方がよい

中古住宅購入シリーズを始めます。

 

わが家の物件購入経験から「やった方がいいこと」「やらない方がいいこと」を紹介したいと思います。

 

第1回目のテーマは「両手仲介」です。

 

買い主も売り主も個人である場合、素人である双方が直接やり取りするわけではありません。

 

不動産取引会社が買い主と売り主の仲介に入り、買い主や売り主は仲介手数料を支払います。

 

この「仲介」は2種類あります。

 

買い主と売り主がそれぞれ別の不動産会社に仲介してもらう「片手仲介」と、買い主も売り主も同じ不動産取引会社が仲介する「両手仲介」です。

 

 

「両手仲介」では、不動産取引会社にとっては買い主と売り主の両方から仲介手数料を受け取るメリットがあります。

 

一方で、買い主(と売り主)は、不動産取引会社が買い主と売り主の両方に不都合のないよう、中立的な振る舞いをしている業者かどうかを注意する必要があります。

 

わが家は現在住んでいる中古住宅を、「SUUMO(スーモ)」「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」「at home(アットホーム)」などの不動産ポータルサイトで見つけました。

 

ポータルサイトでは、一般的に同じ物件を複数の不動産取引会社が紹介していますが、わが家は写真の枚数など最も掲載情報が詳しい不動産取引会社を選び、内見のアポを取りました。

 

この物件(つまり現在住んでいる家)は、「両手仲介」でした。

 

結論を言いますと、不動産取引会社は中立の立場には立ってくれませんでした。

 

非中立的な振る舞いとして、

 

  1. 「中古物件は内見から1週間程度で契約するのが一般的」と売り主の側に立った説明をする。
  2. インスペクション(建物状況調査)の相談をすると、「引き渡しの後になる」と売り主の側に立った説明をする。
  3. これまでどれぐらいの内見があったか質問しても、数をはぐらかす。
  4. 値引きの相談で希望の値引き幅を伝えると、「その値引き幅では難しいと思う。交渉はしてみるが、ダメだったら、50万円上乗せた額で折り合うのでどうか」と明らかに中立的でない動きをする(わが家は最終的に希望額で契約できたので、法外な要求をしていないことは明らか)。

 

などがありましたが、挙げるとキリがありません(今回触れていない部分は次回以降に書きたいと思います)。

 

「どうしてその業者の仲介を続けたのか?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、家は一生に一度の買い物です。わが家もからはじめから十分な知識があるわけではありませんでした。

 

その物件は場所、築年数、間取り、価格、入居時期などが総合的にわが家の希望に合致するところが多く、仲介業者がはぐらかした内見件数の概数についても当初は鵜呑みにしていました(現実的にあり得ないことを後日確信しました。それは別の機会に)。

 

「他の人に先を越されてしまう」という焦りもあり、買い付け申し込み後でも別の不動産取引会社に仲介をお願いできるか検討する余裕がありませんでした。

 

反対に、問題の仲介業者が繰り出す説明が虚偽かどうか確かめるため、疑問があるたびに宅建協会や建築士会、弁護士会などに問い合わせをする手間を強いられました。

 

もちろん「両手仲介」でも売り主、買い主の両方に不利にならないよう誠実に振る舞う取引会社はあると思います。

 

ただ、「両手仲介」に伴う苦しみを経験したわが家としては、「両手仲介」は避けた方がベターだと結論づけております。

 

【破格の国補助金】窓リノベで防音・断熱・省エネを手に入れた【中古住宅ライフ充実】

中古住宅に住むにあたってネックになるのは、実は「窓」です。

 

板硝子協会のホームページなどを見ますと、一説には、複層ガラスの窓が浸透し始めたのは2000年ごろからなんですかね。それ以前の物件は1枚ガラスが一般的だったと思われます(寒冷地は事情が違うらしいです)。

 

わが中古住宅も1枚ガラスです。そのため、冬は寒く、夏は暑い。エアコンの効きは悪く、防音性にも乏しい。結露も悩みです。

 

リフォームや修繕の相談に乗ってもらっている業者さんに国の「先進的窓リノベ事業」を紹介してもらい、内窓を取り付けました。

 

 

この「先進的窓リノベ事業」は凄まじい額の補助金を受けられるのですが、お金の話はちょっと置いといて、先に内窓の効果を紹介します。

 

まず、防音性に驚きました。

 

以前は窓を閉めて庭作業をしていても、子どもが大騒ぎをし、親が叱りつける様子が筒抜けでした。「ご時世がご時世だから、近所に児童福祉に明るい方が住んでいたら、児相に通報されてしまう…」とびくびくしていましたが、窓リノベ後は、音漏れがあまり気にならなくなりました。

 

次に断熱性。

 

象徴的な出来事があります。今年、2023年は史上「最も暑い夏」であると気象庁が発表しておりましたが、わが家では、エアコンを効かせたリビングで、設置したばかりの内窓を開けると、「もわっ」とする熱気が侵入してきました。

 

外窓はまだ閉まっているにもかかわらず、です。

 

この「もわっと熱気」は灼熱のオレンジ色を帯びて見えるほどの勢いがあり、室温との温度差の凄まじさをうかがわせました。

 

続いて省エネ効果。

 

窓リノベをしていなかったら、内窓を設置していなかったら、わが家は、このオレンジ色の「もやっと熱気」の侵入を許し、エアコンとの直接対決を強いられていたことでしょう。今年は電気料金の値上げに苦しんでおりますので、昨夏との単純な料金比較は難しいですが、設定温度以上の冷房効果を肌身に感じられる夏を過ごしました。

 

近ごろ、ようやく冬らしくなってきましたが、暖房効果にも十分に期待が持てます。

 

最後に、結露の悩みもなくなりました。

 

そして、お金の話です。

 

「先進的窓リノベ事業」では2023年度、一戸あたり最大200万円もの補助金を受けることができます。

 

わが家の場合は十数カ所で内窓を取り付け、50数万円を受けることができました。

 

世話していただいた業者さんは「窓のリノベでこれほど補助率の高い事業はかつてない。内窓付けるなら今がチャンス」と背中を押してくれましたが、その言葉通り、全国的に大人気だったそうです。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

関係業界では、補助金の継続を求める声が上がっていたと聞きますが、2024年度も継続される見込みだそうです。

 

www.reform-online.jp

 

どうして、それほどお得な補助制度を用意しているかと不思議になりますが、背景には各国で約束している二酸化炭素排出量の削減目標と関係があるそうです。

 

高性能な複層ガラス窓を取り付けたり、内窓を設置することで、断熱性が上がり、冷暖房負担が軽減し、二酸化炭素削減につながる、という話のようです。

【インフル時も安心】2階窓からの転落防止に補助錠

中古住宅に住んでいます。

 

2階の子ども部屋や寝室の窓が前に住んでいた家よりも低く、子どもが誤って転落しないかと気になっています。

 

窓枠から床までの高さを巻き尺で測ってみますと、最も低いところで60センチ強しかありませんでした。

 

その次に低いところは70センチ弱でした。その窓の前には現実的にベッドを置かざるを得ず、おまけにその部屋には出窓もあるため、転落防止のための手立てを考えました。

 

ホームセンターで、引き違い窓のサッシに貼り付けるだけで窓を全開にできなくなるアイテム「補助錠」を見つけました。

 

 

 

プレートを寝かすと窓を開け閉めでき、プレートを立てると窓を全開にできなくなります。また、貼り付ける位置を変えることで「換気ロック」と「防犯ロック」を使い分けることができます。

 

わが家では、2階の子ども部屋と寝室では、反対側の窓から十数センチほど離れた位置に貼り付け、「換気ロック」として使用しています。読んで字のごとく、空気の入れ換えができます。

 

反対側の窓から距離を取った「換気ロック」

 

1階は反対側の窓にギリギリ接するくらいの位置に貼り付け、「防犯ロック」として使っています。窓に近づけすぎると、プレートを立てにくく、また寝かせにくくなるので、注意が必要です。

 

反対側の窓ギリギリに付けた「防犯ロック」

 

さて、転落防止や防犯のために取り付けた補助錠ですが、家族がインフルエンザにかかった時には絶大な安心感がありました。

 

厚生労働省のホームページでは、「インフルエンザにかかった時は、抗インフルエンザ薬の服用の有無や種類にかかわらず、異常行動に関連すると考えられる転落死等が報告されています」と紹介しています。異常行動の例として「突然立ち上がって部屋から出ようとする」「興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする」「人に襲われる感覚を覚え、外に走り出す」などを挙げ、「窓の鍵を確実にかけるなど異常行動に備えた対策」を徹底するよう訴えています。

 

全国的にインフルエンザが大流行していますが、わが家では窓の鍵に少し工夫を施すことで不幸な事故を防ぐことができるのではないかと考えています。

 

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【ずぼらレシピ】余ったオートミールで糖質制限バジルチキン【フードロス防止】

糖質が少なく、食物繊維が多いオートミール

 

「育ち盛りの子どもにとっても中年太りの大人にとっても救世主だ」と、わが家でも試してみました。

 

ミルクがゆにしたり、ぽん酢やめんつゆで和風がゆにしたり、電子レンジでチンするだけで手軽に食べられるため朝食を中心に重宝していたのですが、半年弱で人気が落ちてしまいました。

 

「これは『オートミールあるある』だな」と思いつつ、このまま放っておくと可燃ごみ行きになる未来しか想像できなかったので、「転ばぬ先の杖」ということで、パン粉代わりにしてみました。

 

用意したのはバジルソースに漬け込まれた鶏ムネ肉です。モモではなくムネ。これも糖質オフ(低い糖質?)です。中年太りの味方です。

 

今回は「ずぼらレシピ」ですので、漬け込んだ状態で市販されている鶏ムネ肉を用意しました。

 

鶏ムネ肉に卵を付けてオートミールをしっかりと纏わせるやり方も考えましたが、今回は「ずぼらレシピ」ですので、卵付けは、なし、です。(ちなみに、言い訳ではありませんが、卵を付けない理由は、バジルソースと卵のコラボり方によっては子どもが食べなくなる恐れがあるのですよ)

 

というわけで、作り方は、バジル漬け鶏ムネ肉が入った食品トレーにオートミールを適量ぶち込み、熱したフライパンでしっかり焼くだけです。

 

塩コショウやニンニクで味を調えれば、完成です。

 

ギラン・バレー症候群に気を付けましょう

 

歯ごたえや口ざわりがパン粉とは随分違っていて、エキゾチックな気分が味わえます。

 

わが家では「少しだけ地中海の香りがするね」という意見も出て、おいしくいただきました。

 

シチリアな気分が味わえるレモンチューハイとの相性もばっちりでした。

 

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【昭和の正義】近所の子どもが投げた石が愛車に当たったのに嘘をつかれた話【令和の正義】

数年前の話。

 

近所に「道路族」を思わせる集団がいた。

 

少し考えたら、いや、少し考えなくても分かり切った話だが、道路族にはわが子の友達もいる。

 

その子と遊ぶ場合は、不本意ながらわが家も道路族に片足を突っ込まざるを得ない状況に陥る。

 

近隣には戸建て住宅が軒を連ねていて、わが家もその一部だ。戸建てを隔てる通りでは、毎日のように、自転車やキックボードが走り回り、ボールが行き交う。

 

戸建て住宅の駐車スペースでは、当然のように愛車が並んでいる。中には、毎週のように洗車しワックスをかけている愛車もある。

 

わが家は中古で十数年落ちの国産車。「洗車は雨水で」的な取り扱いしかしていなかったが、それでも童のキックボードやボール遊びが気にならないと言えばウソになる、というのが実際だった。

 

そんなある日。空はいつ雨が降り出してもおかしくない表情。夫が休みの平日の出来事だった。

 

きっかけは夫の何気ない行動だった。

 

「今日の道路族の現場は、わが家の前か」という危機感を夫婦が共有していたから、ということでもないが、夫が「近ごろは雨が少ないからねえ。ここらで一雨来るといいんだけどねえ。こんなこと言うと、『日本昔ばなしか!』とか言われちゃうかなあ」とかなんとか言いながら、玄関のドアを開けた。

 

その瞬間だった。

 

ソバージュのような、長州力のような、ヘアースタイルの女児が、駐車スペースに敷き詰めている砕石を地面に向かって叩きつけるのを、夫は見てしまったのだ。

 

その砕石は物理法則に則り、地面に跳ね返り、愛する中古車を直撃した。

 

 

夫の息は止まった。

 

息を止めたのは「われ、わいのベンツに何かましてくれとんねん!」という怒りではもちろんなく、「え、この令和のご時世にこんな愚かな、アホウな遊びをする子がいるのか…」という驚きだった。

 

夫の息は、ソバージュの視線で吹き返した。

 

ソバージュと目が合ってしまったのだ。

 

背が高い上に目つきがとにかく悪い夫はソバージュの表情を観察し、とっさに「いかん!泣かせてしまう!」と直感し、ドアを閉めた。

 

夫は妻に助けを求め、事情を説明した。

 

「さあ、これから信じられない話をするよ。真横にうちの車があるのに、ソバージュが石を投げたんだよ。その石が車に当たってさあ。で、次に、その様子を見ていた僕の視線がソバージュの視線と当たってしまったんだよ。ソバージュは『やっちゃった』というような目をして、泣きそうな表情をしているんだ。ここは僕が対応するより、女性の君の方が何かと事がはかどると思うんだよ。いや、男女の性差っていうことではなく、僕の目つきが悪さをするんじゃないかってね。君のマイルドな人柄の方が、こういう状況にはより適切だと思ってね。ほら、ソバージュは謝ろうとしているかもしれないだろ?」

 

妻は「恐れていたことが起こった。それも最悪のパターンで…」とこぼし、ドアを開け、出て行った。

 

1分後。

 

夫が「どうだった?」と尋ねると、妻は放心状態で答えた。

 

「ソバージュは『何もやっていない』って言うんだよ」

 

夫は「えー!」と驚き、問い返す。

 

「なんでそうなるの?」

 

妻は頭をくしゃくしゃにしながら言った。

 

「玄関先に子どもが4人座っていたんだけど、車にキズがないかぐるりと一周した後、『石を投げて遊んだら危ないし、周りの車に当たることもあるからね。石は投げてない?』と問い掛けたんだよ。そしたら、ソバージュは『していない』って言うんだから。ああ、わが子は黙ってあたしを見ていた。あたしゃあ、『投げました。ごめんなさい』と言うもんだと思ってたから、それ以外のパターンは想定してなかったよ。車はもともとキズだらけで、今回ついたのはどのキズかは分からない。おまけに自供もない。そんな状態で弁償の話をしたら、待っているのは『道路族』とのトラブルだけ。あたしは2秒で負けを悟り、戻ってきたんだよ。こんな難局を乗り切る『親力』は持ち合わせていないよ」

 

夫は「え? それなら、あれかい? ぼくは、あの時点で昭和の近所の頑固じいさんよろしく、ぶちギレたらよかったのかな? 『昭和の不義』には『昭和の正義』で制裁だ!って感じで? でも、そういうわけにもいかなくないかねえ…」と狼狽した。

 

ちなみに、遊びが終わり、帰ってきたわが子に真相を問い詰めると、回答は「ソバージュは石を投げた」だった。おまけに歯も気も抜けたような別の女児も投げていたという新事実も発覚した。歯抜け女児は、妻の質問に対しては間が抜けたような顔をして何も答えなかった。

 

あれ以来、夫婦は何度もソバージュと歯抜け女児に出くわし、互いに気持ちの良い挨拶を交わしているが、あの時どう振舞えばよかったのか。正解は分からないままである。