妻が風邪をひいた時の話。
それが何とも不思議な風邪で、朝は39度前後まで熱が上がるのに、昼前には37度前半に落ち着く。
治ったと思っていると、夜にはまた38度台までぶり返す。
全身に倦怠感があり、鼻水や咳にも悩まされる。
「そんなのインフルエンザで決まりでしょ」な感じなのだが、体温の乱高下が腑に落ちず、病院に行くタイミングを逃していたら、1週間が過ぎようとする。
しぶとく、不思議な風邪だ。
毎朝の子ども弁当作りが骨身に応える。
見かねた夫が弁当作りに名乗りを上げた。
「僕がやるよ。君は休んでいてよ」と。
とは言っても、ごはんもおかずも前日の夕食から取り置いているので、作業はそれほど高度ではない。
ごはんとごはんは電子レンジで温め直して、冷まし直す。
ウインナーをタコ加工して焼き、子どものリクエストに応え卵焼きを作る。
冷凍のブロッコリーを解凍して、ミニトマトを加えればほぼ完成だ。
少しだけスキルを要するのは小さなお弁当箱に食材をバランスよく隙間なく詰めるところぐらいだ。
予定時間内に弁当は完成。子どもを無事見送った後、夫が言った。
「ねえ、『夫が弁当を作った』記事を書いてみようか」
「え、そんなのいいよ。男が子どもの弁当を作るなんて別に珍しいことじゃないよ。そんなに取り立てて『育児やってます』みたいなのはどうなのかね。時代錯誤感があるよ」
「そっか。それは僕もそう思う。育メン発信ブログではないしね」
夫婦ではそんな会話があったが、せっかく写真も撮ったし、やっぱり公開してみようと思う。
その是非について評価は定まっていないが、男親も弁当を作らないよりは作る方がいいと思うので。