2秒で熱々米せんべいを作れる。
熊本県山鹿市にはそんな魔法のような体験ができるお店があります。
八千代座から車で数分。歩いても数分プラスアルファ。趣のある家屋が並ぶ商店街に店舗を構える「せんべい工房」さんです。
お店に入ると、独特な機械(窯?)に目を引き付けられます。
せんべい作りを教えてくれるのは、バンダナ(手ぬぐい?)姿がかっこよく、優しい目をした職人さんです。
職人さんの導きで、金魚すくいの「ぽい」のような金型にお米をのせ、もう一つの「ぽい」をかぶせます。
続いて、合わせたダブルの「ぽい」を熱した機械に入れ、学校の図工室にあった万力のようなハンドル(のような?もの)を急いで回し、圧力を加えると、あら不思議。
おいしい香りとともに熱々せんべいの出来上がりです。
食感はパリパリ。文字では味も香りも伝えられないのが残念です。
「せんべい工房」さんの魅力はせんべい作り体験だけではありません。
職人さんのトークです。
我が家がお邪魔した時は、宿泊先を聞かれ、答えると、職人さんは「面白い男がいたでしょ」。
食事を世話してくれたホテルマンの方のことかなと思い、うなずくと、職人さんは彼のトークの技量をたたえ、「そいつは山鹿で3番目(2番目?)に面白いやつですよ」。
我が家が「そうきたか」とにやにやしていると、職人さんは「1位は自分ですけどね」とにやり。
職人さんの万華鏡のようなトークに大いに笑わせてもらいました。
店を出てからも「山鹿のお店には持ちネタがあるんかい!」とまたも大笑いしました。
山鹿は八千代座のほか、温泉や灯籠祭りで有名ですが、職人さんのトークを聞いていると、山鹿を盛り立てようとする商工業者の思いや横の連携も感じられるようで、出来立てせんべいと同じくらい、我が家の胸も熱くなりました。
職人さんのトークの巧みさや胸の熱さを文字では伝えきれないのが残念です。
最後に少し話が広がりますが、旅行といえば昔は複数の観光地を短時間で巡るスタイルが主流だったと言われますが、近年は体験を通して地域固有の文化や風土を楽しむスタイルが注目を集めているそうです。
「体験型旅行(観光)」などと呼ばれ、宿泊日数が増えたり、特に気に入ればリピーターになったりと、その地域の観光に関わる方にとってはメリットが大きいなんて話も聞いたことがあります。
「せんべい工房」さんは、極上の「体験型旅行」が楽しめるお店です。
まもなく秋の行楽シーズン。試しに山鹿に足を運んでみてはいかがでしょうか。