【新型コロナ下の旅行】戸惑いのビュッフェ朝食

新型コロナウイルスが猛威を振るっていたころの話です。

 

我が家は感染拡大におびえつつも旅行欲求を抑えられなくなり、混雑してなさそうな地方都市のホテルに泊まりました。

 

 

そのホテルには至るところに消毒液があり、換気もばっちり。部屋の清掃も行き届いていました。

 

ただ、朝食はビュッフェ形式。ホテルは観光客やビジネス出張客など不特定多数が入り混じっており、意を決して、食堂に向かいました。

 

入口には、消毒液とならんで、マスクや使い捨て手袋着用を呼び掛ける注意書きがありました。

 

「手袋をすればトングを直に触らなくて済む。なるほど」

 

戸惑いつつも感染対策の神髄を理解した我が家は好みの料理を皿に盛り付け、テーブルにつきました。手袋とマスクを外し、さあ、楽しい朝食の始まりです。

 

食堂には宿泊客が次々と入ってきます。

 

ある子連れの御一行が、注意書きのところで立ち止まりました。我が家と同じような家族構成です。

 

御一行は手袋をはめて、料理を盛り付け、テーブルへ。我が家と同じような動きです。

 

御一行を遠目に、うちはうちで「みんな大変だね」なんて話しながら、朝食を楽しんでいると、驚くような光景が目に飛び込んできました。

 

御一行のママさん、手袋を外さずに食べ始めたではありませんか。

 

皿が空くと、そそくさとビュッフェテーブルに。もちろん手袋はつけたまま。そのままトングを持ち上げたではありませんか。

 

「それ、もうあんたの手やん。手袋交換せんのかい」。思わず夫婦で目を合わせてしまいました。我が家はおかわりのたびに手袋を交換していたのですが。

 

あれから3年。

 

新型コロナウイルスは5類に移行し、とりあえず自由な生活が戻りつつあります。