「仕事歌」という歌のジャンルがある。
小学校の音楽の授業で教わった記憶があるが、全くピンと来なかった。なぜ田植えをしながら、木こりをしながら、地引網をしながら、歌うのだろう、と不思議でたまらなかった。
炭坑節は盆踊り、ソーラン節は幼稚園児の運動会じゃねえか、と。
しかし、今年、合点がいく出来事があった。
酷暑が猛威を振るった夏、庭いじりをしていた時だ。
今年の夏は、野良猫・雑草対策も兼ねて秋にハーブの種をまくため、ドクダミを駆除したり、地面を整地したり、とにかく庭いじりに時間を費やした。
しかし、いくら目的のある作業でも、あの暑さでは何度も萎えた。9月1日には気象庁が「今年の夏(6~8月)は観測史上最も暑かった」と発表していたが、確かにちょくちょく休憩を取らないと死んでしまう暑さだった。水分補給をしながら「どうやったら作業効率が上がるか」と考えを巡らしていると、ひらめいた。
「あ、こんな時こそ『仕事歌』なんだ」と。
Bluetoothスピーカーを庭の置き、ノートパソコンから音楽を飛ばしてみた。
作業を再開すると、能率アップ。効果は抜群だった。
スコップを土を突き立て、不要な石やごみ、木の根を取り除き、ドクダミを根こそぎ取り除く。単調な作業の繰り返しのはずが、スピーカーから流れるリズムに乗って、両手の動きにも抑揚が出てくるようで、作業に「グルーヴ」が生まれる感覚を覚えた。
音楽の授業が脳裏に蘇ったが、詳細は思い出せなかったので、ネット検索してみた。
山口県文書館の資料に、
仕事歌は、 仕事の調子を取ったり、 共同作業の調子を合わせたり、 単調な作業で辛気(しんき)な気持ちを紛らわしたり、あるいはもうひとがんばりの元気を出すために、ほとんどの仕事の場面で歌われました。 これらの歌は民謡として残ることも多く、 人々にはとても身近な歌でした。
とあった。
「これだよ」と膝を打った。たしかに、辛気な気持ちは紛れたし、もう「ひと」ふんばりどころか「ふた」ふんばりも「へち」ふんばりの元気がでた。
子どもは今昔問わず「学校の勉強なんて何の意味あるん?」と言いがちだが、我が子にも当時の自分にも「意味は、あります」と改めて言いたい気分になった。(話は逸れるが、スタップ細胞のオボガタ元研究員も「学校の勉強なんて意味あるん?」と言ったことがあるのだろうか、と少し気になった)
とにかく、無事にハーブの種まきまでたどり着いたのは「仕事歌」が背中を押してくれたことが大きい。
ちなみに愛用のBluetoothスピーカーはAnkerの「Soundcore Boost Bluetooth」。
特長は
- ワンタッチで低音を強化できる。
- 防水機能があり入浴中でも使える。
- モバイルバッテリーとしても使えるので旅先でもかなり重宝する。
6年近く使っているが、故障なし、である。
最後に余談だが、夏の作業でヘビーローテーションしたアルバムは
- yellow magic orchestra「solid state survivor」(特に「absolute ego dance」)
- オムニバス「沖縄の歌 決定盤」(特に「てぃんさぐぬ花」「ハイサイおじさん」「唐船ドーイ」)
- 久保田麻琴と夕焼け楽団「ハワイ・チャンプルー」(特に「ムーンライト・フラ」「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」)
- mali music「mali music」(特に「mamako city」「le hogon」)
庭いじりには「土の匂い」がする曲がしっくりくるようだ。
ちなみに、さんざん「仕事歌」と書いてきたが、インスト多め、沖縄やアフリカのグルーヴ多めのため、作業中に歌ってはいない。素人に歌える「ノリ」ではない。
ご近所さんのご迷惑にならないよう、ボリュームを抑えながら、聞くのみである。
ただ、作業が乗ってくると、思わず鼻歌を歌ってしまうこともある。そういう場合は「あ!」と我に返り、「ノリの悪い鼻歌を聞かれてはいないだろうな」と必要以上に周りを見渡すのみである。
(ドクダミ駆除に力を尽くした話の詳細はこちら↓)
(ハーブの種をまいた話の詳細はこちら↓)