夫とむすこの投げキッス

数年前、夫とむすこの平日休みが重なった時の話。

 

むすこが午前中、計算練習をしながら「今日は公園誰と行ったらいいかな。パパと行こうかな。パパは今日休みだから」と独り言を言っている。

 

むすこはママが好きで、夜は「今日は誰と寝たらいいかな。え~と、ママ!」と言うのが日課だ。だからか、夫は「ついに時が来た!」とでも言いたげな表情で投げキッスを始めた。

 

なのにむすこはここぞとばかりに無視をするものだから、夫は「え?むすこちゃん、投げキッス知らないの?」と思わず聞いてしまっていた。

 

息子は「知っているよ。だって幼稚園でやってるもん!」と答えて、尖らせた唇に指を近づけて数字の「2」を作った。

 

夫は「むすこちゃん、上手だね。でも、それだとたばこ吸っているみたいだよ」と諭していた。

 

二人は「じゃあ、公園は2時から行こうか」と声をそろえて約束していた。